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このため、国は国土総合開発法(昭和25)をはじめ、農村地域工業等導入促進法(昭和46)、工業再配置促進法(昭和47)、高度技術工業集積地域開発促進法(昭和58)いわゆるテクノポリス法、地域雇用開発等促進法(昭和62)など、数多くの産業振興、地域振興に関する法律を策定し、国土の均衡ある形成を図って来た。平成7年5月には地方推進分権法が策定され、中央に集中した国の行政権限を極力地方へ委譲させるべく検討が進められている。
経済面において、欧米へのキャッチアップを終えた今日の日本にあって、今後は地方が特色を持ち、個性豊かに発展することで、わが国が全体として発展する仕組みが求められていると言えようか。
従って、Uターンも単に都市と地方との労働力の争奪戦として見るのではなく、人々の交流として捉え、大都市圏と地域とがそうした交流を通して躍進して行くという理解が必要と解される。
この意味から、国や地方公共団体は人々の相互の交流がスムーズに図れるような質のよい雇用環境等の整備を一層充実していく必要があるだろう。

 

(2) 高度産業・高度技術化促進による地方空洞化の克服
産業や技術は常に「陳腐化」の宿命を負っている。従って、国、地方の発展のためには絶えず状況に応じて発展する環境や組織、人材等が必要となる。即ち、量産型の工場から、高付加価値分野の産業へのシフトが求められることとなり、また、これに伴い企画・調査、研究開発といった機能がより重要となって来る。
我が国が従来からの産業をそのまま持ち続けるということは、不可能なことであり、むしろ国内で生産するよりも海外の生産に委ねた方が経済的であるものについては極カ海外で生産させる方が合理的である。
しかしながら、西欧へのキャッチアップを終えた今日、我が国自らの手で新たな高度産業・高度技術を生み出すということは容易でないことも確かである。現在、産業構造審議会では、産業の新規・成長分野とその振興策について検討を行っているところであるが、地方においてもこうした視点からの積極的な取組、体制整備が期待されるところである。

 

(3) バランスのとれた労働市場圏の形成促進
既に述べた通り、我が国の将来における労働力人口(15歳〜64歳)の大幅な減少が、地域間の労働力アンバランスを生み、地域の活性化の阻害要因となることが懸念される。
現在においても、新過疎法指定の過疎地域は全市町村の37.1%にも及び、このうち516市町村が5年前と比べ5%以上人口が減り、80市町村が10%以上人口が減っている。また、過疎地域の65歳以上の高齢者世帯は14.5%で全国平均の約2倍に達している。過疎地域の人口の減少、高齢化がハイペースで進んでいるわけである。
労働省ではこうした地域を含め、雇用機会が量的に不足している地域、あるいは雇用機会が質的に不足している地域等についてそれぞれ地域指定を行い、雇用開発や雇用環境整備のための助成金支給(賃金・施設整備費の助成)など、各種の支援措置を講じて地域の雇用開

 

 

 

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